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NQAコラム
餃子とプロセスの妥当性確認
2014.01.16 | テーマ:ISO 9001
先日、T審査員と某中華チェーンで昼食を食べる機会がありました。私が中華丼と餃子を注文したところ、T審査員は「餃子2人前と小ライス、餃子ヨクヤキでね!」と注文。 餃子ヨクヤキ??? ふうん、餃子に特別注文を付けるとは、T審査員は餃子にうるさい人なんだ!と感心しつつ、「焦げたのが好きなのですか?」と聞くと「違います。中が冷たい生っぽい餃子が出てきたことがあったので、予防処置ですよ」とのこと。



審査員という動物は、こういう不適合事象を耳にすると、すぐにISOの要求事項で考えてしまいます。
冷蔵していた生の餃子を焼いた時に、中までちゃんと火が通っているか外から見分けるのは素人には難しいです。1回に4人前24個焼くとして、内1個の皮を剥いで中身を割ってみるという手も考えられますが、それでは1個ロスする破壊検査になってしまうのでやるわけありません。中心温度計で中の温度を測る手もありますが、あの忙しいなかそんなことやっている暇はないでしょう。
実際の現場でどうやって管理しているのか知りませんが、こういう場合は7.5.2プロセスの妥当性確認の要求事項を使うのが王道です。

T審査員が安心して餃子を注文できるようにするために、規格要求事項で考えてみたところ「科学的管理」と「職人技管理」の2つのパターンが思い浮かびました。

規格は、次の事項をうち該当するものを含んだ手続きを確立することを要求しています。
a)プロセスのレビュー及び承認のための明確な基準
b)設備の承認及び要員の適格性確認
c)所定の方法及び手順の適用
d)記録に関する要求事項
e)妥当性の再確認

a)プロセスのレビュー及び承認のための明確な基準
これは、焼けた餃子のあるべき状態が基準になります。
餃子焼きプロセスのレビュー及び承認の為の明確な基準は、焼けた餃子の中身に火が通っていることです。火が通っていることを定量化するために火が通っていた時の具の温度を量ってみたら75℃だったことにしました。
そこで、焼いた餃子の具の温度が75~85℃を“明確な基準”にし目標管理温度を80℃としました。

さて、ここからは、「科学的管理」と「職人技管理」で分かれます。

■科学的管理のケース:
餃子焼きプロセスを出来るだけ標準化して管理したいので、以下の条件を標準化することにしました。
①    餃子の皮の厚みと材質
②    餃子の具の各材料の配合量
③    餃子に詰める具の量
④    焼く前の生餃子の保存温度
⑤    餃子を焼くときの餃子焼き器の温度
⑥    差し水をする水の量と焼き始めてからの時間
⑦    焼き上がり時間

b)設備の承認及び要員の適格性確認
餃子焼き器によって温度の上がり下がりに差があると、上記の①~⑦を標準化しても、焼け具合に差がでるといけないので、①~⑦の条件を適用できる焼き器の型式を指定し承認することにしました。
要員の適格性については、①~⑦の条件で承認された焼き器で焼けば、誰が焼いてもきちんと焼けるはずなので省略することにしました。

c)所定の方法及び手順の適用
これは、①~⑦の条件通りに、承認された焼き器で調理するという手順を適用するということです。

d)記録に関する要求事項
あまり記録を残すべきものは無いですが、具の温度が75℃以上になると、火が通っていることを確認した証拠の記録。それから①~⑦の条件で承認された焼き器で焼いたら具の温度が75~85℃になったという試験時の記録は残しておくことにしました。

e)妥当性の再確認
一般的に4M変更をした時には、妥当性の再確認を!と言われております。
4Mとは、Man(人)、Machine(設備)、Material(材料)、Method(方法)ですが、要員の適格性は無視することにしたので、Machine(餃子焼き器)と
Material(餃子の①皮と②具の材料)とMethod(①~⑦の条件)を変更した際に、具の温度が75~85℃になることを再度確認することにしました。
この確認を行ったら、記録を残すことにしました。

これで、生焼け餃子を提供してしまう失敗は防げるようになりました。たぶん。。。

■職人技管理
こちらは、あまり標準化せずに職人技で焼けたことを管理する方法です。
とは言え、以下は標準化することにしました。
a.餃子の皮の厚みと材質
b.餃子の具の各材料の配合量
c.餃子に詰める具の量

a)プロセスのレビュー及び承認のための明確な基準は、科学的管理も職人技管理もかわりません。中まで火が通っていることが問題なので、中心温度が75~85℃になっていることです。

b)設備の承認及び要員の適格性確認
こちらは、要員の適格性確認に餃子焼き職人を当てはめます。a~cの条件で作った餃子を焼いた際に、外観から目視で確認すること及び外から触っただけで、具の温度が75~85℃以に上がったことを見極めることができる力量を持った職人を認定餃子焼き職人としました。
この認定を取る為には、100回焼いて100回とも75~85℃になるという実地試験にパスしなければならないことにしました。
設備の承認については、職人に負担がかかりすぎないように、焼き器の型式を指定することにしました。すなわち、承認された型式のみ使えることにしました。

c)所定の方法と手順の適用
上記a~cの標準化された条件で承認された型式の焼き器で焼くことです。

d)記録に関する要求事項
認定餃子焼き職人が100回焼いて100回75~85℃になったというテスト記録を残すことにしました。

e)妥当性の再確認
先に述べたように4Mの変更を行う際に妥当性の再確認を行います。
Man(人)、Machine(設備)、Material(材料)、Method(方法)のどれか一つ変わっても、具の温度が75~85℃になることを確認、記録しておくことにしました。

これで、生焼け餃子は防げるでしょう。たぶん。。。

ところで、もしも焼いた餃子全部に中心温度計を指して具の温度が75~85℃になったことを確認してから提供していたら、餃子焼きプロセスについては、プロセスの妥当性確認適用除外でも良いことにしましょう。
すなわち、全数検査しているのでプロセスで焼き具合を管理しているというよりは、検査で品質保証しているとみてよいからです。

と、こんな話をしながら昼食を終えて、店を後にする審査員2人でした。
ISOマネジメンシステム規格の改訂
2013.12.26 | テーマ:マネジメントシステム

 トップページでもご案内していますが、ISO 27001(情報セキュリティマネジメント規格)の改訂版が2013年10月に発行されました。同様にISO 9001(品質マネジメントシステム規格)やISO 14001(環境マネジメントシステム規格)もこの1~2年内に改訂が予定されています。

なぜマネジメントシステム規格が改訂されるのでしょうか。
  ISOでは日々進化する技術革新や時代に即したニーズに対応するため、全ての規格の内容を5年ごとに見直すことになっています。仮に内容に変更がなくても reaffirmed (再確認)としてその年月が記されます。
品質や環境のマネジメントシステム規格でも同様に過去数回の改訂がありましたが、これまでの実績では約7から8年のサイクルで改訂されています。
  ISOではマネジメントシステム規格の開発にもガイドライン(ISO/IEC指令 Annex SL~Part1)が定められていて、今後の改訂ではこれが採用されます。これに基づいて開発される規格は用語や条項の構成が統一されることになります。

それでは、マネジメントシステム規格が改訂されると認証組織である皆様はどう対応すればよいのでしょうか。
  マネジメントシステム規格が改訂されると、旧版から新版へ切り替えるための移行期間が設けられます。移行期間内は2つのマネジメントシステム規格が並立する事になりますが、その期間の長さは、改訂内容などにより異なります。今回改訂されたISO 27001では2年間です。
  引き続き認証を維持していただくために、この移行期間内で実施される定期(維持・更新)審査を新版に対応した内容で受審していただく必要があります。移行審査に対する追加の工数(費用)は基本的には求められません(ただし、大幅な改訂があればその限りではありません)。
  移行審査を迎えるにあたっては、予め新版を基準に現在運用されているマネジメントシステムを見直し(内部監査とマネジメントレビュー)ていただきます。
  
今後も各マネジメントシステム規格改訂の動向について、随時お知らせしていきます。
紙・ごみ・電気に真剣に取り組む強者
2013.12.17 | テーマ:ISO 14001
ISO 14001では、紙、ゴミ、電気の削減を、環境目標のテーマにしているケースを目にします。
このテーマに対し、
ある組織は、最初からまったく成果が出ず、
ある組織は、最初の数年で成果を出し、
ある組織は、最初成果がでたものの途中から活動がマンネリ化して成果が出ていません。

そんな中、10年近くこの3テーマに真面目に取り組み続け、成果を出している組織があります。

成果を出している組織と成果が出ていない組織の違いは、業種特性や財力ではありません。それは「やる気」と「論理的思考」でした。

何かを変えなければ、電気も紙もゴミも減らないのです。変化するためには、何を変えるべきか適切に決める「論理的思考」が必要です。また、変化には抵抗がつきものです。抵抗を打ち破るのは「やる気」です。

例えば、紙の削減
成果を出している組織は、論理的思考で分析します。
(1) どこで、何のために、どれだけの紙が使用されているか全て洗い出します。
(2) それらの紙が本当に必要か調査します。論理的にムダなものを特定します。
(3) ムダな紙は使わないルールを作成しテストし問題がないか確認します。
(4) そのルールを絶対ルールとして実行します。
(5) (4)が定着したら、また(1)~(4)を繰り返します。

電気もゴミも同じように(1)~(4)を繰り返します。
凄いのは、ムダを特定するときの妥協を許さない姿勢です。
仕事をしていない時の電気は、1ワットでも無駄ととらえます。
就業時間外に、一部の人が早出又は残業している時に使用している共有部分の電気(エアコン、照明等共通使用機器等の電気)は無駄。労働安全衛生法で要求される照度に以上に明るくする電気は無駄。1時間でできる仕事を1時間10分かかけてやるのは電気の無駄。

要するに充分に使い切っていない資源・エネルギーは無駄なのです。

無駄つぶしに本気で論理的に取り組めば、紙、ゴミ、電気でも10年改善し続けることが可能であることを実証されていました。

ところで、この組織にとって削減目標のテーマは、紙、ゴミ、電気でなくても良いのだそうです。
無駄に気付くことができる社員、無駄を無くすための改善ができる社員、そういう社員を育てることが最大の成果なのだそうです。
紙、ゴミ、電気を呼び水にして、あらゆる無駄を徹底的に排除する企業体質を獲得することにISO 14001を使っているのでした。

凄い!